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2017年度のノーベル物理学賞が「LIGO検出器と重力波検出への決定的に重要な貢献」の功績に対して、レイナー・ワイス氏、バーリー・C・バリッシュ氏、キップ・ソーン氏の3氏に贈られました

 2017年のノーベル物理学賞が米国の レイナー・ワイス教授(マサチューセッツ工科大学)、バーリー・C・バリッシュ 教授(カリフォルニア工科大学)とキップ・ソーン教授(カリフォルニア工科大学)に授与されることが決まりました。 受賞理由は「LIGO検出器と重力波検出への決定的に重要な貢献」です。三人は今年3月に亡くなったロナルド・ドレーバー氏とともに米国の重力波検出器LIGO計画を長年推進してきました。ワイス氏は LIGO計画以外にも、宇宙背景輻射の探査衛星COBEの主要メンバーであるなど、卓越した実験家として知られています。バリッシュ氏は、強力なリーダシップのもと多くの研究者をまとめLIGO計画を推し進め、重力波検出の礎を築きました。また、高エネルギー物理学の分野の研究者としても活躍しています。また、 ソーン氏はブラックホールや重力波をはじめとする理論研究でも世界をリードしてきました。
 
 1915年アインシュタインは一般相対論を作り上げました。これはそれまでのニュートン重力と違って、重力を時空の歪みとしてとらえる画期的な理論です。一般相対論は誕生後100年以上にわたる数多くの観測的検証を通して、その信頼性が確認されてきました。
 
 一般相対論で、時空の歪みが波として光速で伝わるのが重力波です。重力波の存在自体は1916年にアインシュタイン自身によって理論的に予言されました。そして、重力波を直接検出するために、 これまで日本をはじめ世界各地で様々な観測装置が作られてきました。しかし重力波は透過性が非常に高く信号が微弱であるため長い間検出できませんでした。
 
 1990年代に建設が開始されたLIGOは一辺が4kmのL字型の観測装置で、米国のワシントン州とルイジアナ州に一台ずつ設置されています。2002年から2010年にかけて断続的に観測が行われましたが、重力波の検出には至りませんでした。
 
 その後、LIGOは装置の大規模な改良を施され、性能が大幅に向上しました。そして、2015年9月15日ついに重力波をとらえることに成功しました。それは、多くの研究者の予想と異なり、合体する2つのブラックホールの放出した重力波でした。今回ノーベル賞の受賞が決まった三人の長年の努力が見事に実を結びました。もちろん、この成功の背後には多くの人々の様々な貢献がありました。
 
 LIGOはその後も観測時間を増やし、現在までに計4つの重力波信号の検出を報告しています(そのうち1つはVirgoと同時観測)。こうして、重力波観測が宇宙を探る新しい手段として急速に確立しようとしています。米国以外では、イタリア—フランスが共同でVirgo検出器を作り、感度を向上させつつあります。日本では岐阜県神岡の地下でKAGRA計画を進めています。これらは約3㎞の腕を持つ検出器です。KAGRAにおいては、装置の一部を冷却することで雑音を低減するという先進的な技術が盛り込まれることになっています。

 KAGRAが国際的重力波観測網に加わることは、重力波の到来方向決定の精度向上や重力波源をより正確に特徴付ける上できわめて重要です。また、4台目の検出器が加わることで様々な一般相対論の検証がはじめて可能になります。
 
 このように重力波物理学、および、天文学は華々しい幕開けを迎えました。しかし、真に宇宙の理解が進むのはこれからです。本新学術領域はこの様な状況の中で、 重力波物理学・天文学の創世に貢献すべく、重力波データ解析、多波長フォローアップ観測、理論研究が強力なタッグを組んで様々な研究を展開していく予定です。我々の今後の活動にご注目いただければ幸いです。我々の領域の取り組みに関心を持っていただいた方は領域代表挨拶もご覧下さい。

領域代表挨拶


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