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京都大学・大学院理学研究科・教授 田中貴浩

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 本新学術領域研究も4 年目に入ろうとしています。重力波直接観測による重力波物理学・天文学は、アメリカの重力波干渉計LIGO が2015 年9 月14 日に連星ブラックホールの重力波を検出したことによって始まりました。その後、イタリア−フランスが共同で進めているVirgo が観測を再開するや否や2017 年8 月17 日に連星中性子星からの重力波が観測され、重力波研究はさらなる盛り上がりを見せています。
 2019 年4 月にはLIGO による3 度目の長期連続観測O3(Virgo も共同参加)が始まり、重力波である可能性の高い信号が40 以上報告されています。O3 は2020 年4 月末まで観測が継続する予定で、日本のグループを含め、様々な観測手段を用いた精力的なフォローアップ観測が進行していますが、O3 では電磁波対応天体を同定するには至っていません。
 そのような中でも、これまで考えられていたよりも2 割から3 割程度質量の大きな連星中性子星合体から放出されたと思われる重力波の検出(GW190425)が報告されています。このような予想外の質量をもつ連星の発見は連星系形成のシナリオに対して、新しい謎をもたらすものとして注目されています。日本の重力波観測装置であるKAGRA もO3 に参加をすることを目指して感度の向上が進められています。KAGRA がLIGO/Virgo と正式に共同観測を進めるための枠組みについての取り決めも整いました。

今回のニュースレターでは、このあたりの経緯についての解説記事を特集しました。
領域代表
京都大学・大学院理学研究科・教授
田中貴浩(たなか たかひろ)


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