Gravitational wave physics and astronomy: Genesis(重力波物理学・天文学:創世記)
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重力波源が放つ光の初観測に成功

(クレジット:国立天文台/名古屋大学)
  1. "J-GEM observations of an electromagnetic counterpart to the neutron star merger GW170817" arXiv:1710.05848 Yousuke Utsumi et al., Published in Publ.Astron.Soc.Jap., 69, 101
  2. "Subaru Hyper Suprime-Cam Survey for An Optical Counterpart of GW170817" arXiv:1710.05865 Nozomu Tominaga et al..
  3. "Kilonova from post-merger ejecta as an optical and near-infrared counterpart of GW170817" arXiv:1710.05850 Masaomi Tanaka et al., Published in Publ.Astron.Soc.Jap., 69, 102
 2017年8月17日、アメリカの重力波望遠鏡Advanced LIGO とヨーロッパの重力波望遠鏡Advanced Virgoによって、中性子星の合体現象からの重力波が初めて観測されました(GW170817)。本新学術領域のメンバーを中心に構成された日本の重力波追跡観測チーム J-GEM (Japanese collaboration of Gravitational wave Electro-Magnetic follow-up) は、この重力波検出の速報を受けて、国立天文台すばる望遠鏡や南アフリカに設置された IRSF 望遠鏡などを用いて重力波の到来方向の徹底的な観測を行いました。その結果、うみへび座の方向、約1億3000万光年先にある銀河NGC 4993に現れた、重力波源の電磁波対応天体(SSS17a)の詳細な観測に成功しました。人類は初めて重力波源を「目にした」のです(写真)。
 J-GEMによる観測によって、GW170817が放った光は可視光で急激に暗くなる一方、赤外線で比較的長く光ることが明らかとなりました(1)。またJ-GEMは、すばる望遠鏡の超広視野カメラHyper Suprime-Camを用いた広域な探査観測によって、確かにSSS17aがGW170817の対応天体であることの確認を行っており(2)、重要な貢献を果たしました。
 以前より、本新学術領域のメンバーなどによる理論的な研究によって、中性子星の合体では、鉄よりも重い金やプラチナ、レアアースなどの元素が合成されて宇宙空間に放出されることが分かっていました。さらに、それらの元素の放射性崩壊により可視光と赤外線が放射されること(「キロノバ」と呼ばれる現象)が予想されていました。観測されたSSS17aの性質は、「キロノバ」で予想された光り方のパターンとよく一致しており(3)、今回の観測によって重元素の合成現場が捉えられたといえます。
 宇宙における金やプラチナ、レアアースなどの元素の起源は長年謎に包まれおり、今回の研究成果は、それら重元素の起源の理解に向けた大きな一歩となりました。今後、日本のKAGRAが重力波観測に加わり、重力波と電磁波が協力した「マルチメッセンジャー」観測をさらに進めることで、宇宙の重元素の起源が解明されることが期待されます。
 


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